アフリカの子連れ旅行記を書いておりますが、私はかつて世界一周をした筋金入りの貧乏旅行者でした。
その時に見た、光景として
「経済崩壊をするとその国はどうなるのか?」
ということについて簡単に体験をお話ししたいと思います。※詳しい話は、その時の様子を先日ツイキャスで話したんですが、ダラダラになってしまうので簡潔にまとめます。まずはジンバブエ編。
ジンバブエの場合
アフリカ大陸の南部にある国、ジンバブエ。度重なる悪政の末、世界中から総スカンされた結果、ハイパーインフレの影響で100兆ドル札というとんでもない紙幣を生み出した国として有名です。その後デノミや改革をしていくも全く経済は好転せず、「我が国はもうお金がない」と世界に向けて宣言した時、なんと国に残っていた国庫残金はわずか217ドル(23000円程度)だったといわれています・・・。おそろしや。
私がジンバブエに訪れたのは完全なる経済崩壊を起こす前で、100兆ドル紙幣の生まれる数年前、インフレ率も1000%前後だったといわれている時期です。このころから、すでに毎日米ドルを両替するためのレートは変わっていくし、闇レートが横行するわ、それはもうすでに経済崩壊が起きかけていました。
印象的だったのはその紙幣の多さ。15ドルの米ドルを交換したら、270枚の紙幣で帰ってきたのはいい思い出です。その後はもっともっととんでもない価値暴落を招いていたので、このころはかわいいものだったのでしょう。
その中で私が見た光景で強烈に印象に残っているのは、
銀行にぎゅうぎゅう詰めにならぶ現地の人々
の様子です。
この時の写真を撮っていないのですが、イメージとしてはこんな感じで並んでいました。
写真出展:http://labaq.com/archives/51789579.htmlよりいただきました。
このお写真はインドのようですが、現地の方々がもう虫一匹いれさせん!という具合に並んでいるのです!
私はこの光景を見たのは、ビクトリアフォールズという有名なビクトリア滝のある町。ブラワヨというジンバブエ第2位の都市でもこのような光景はありましたが、もう少しマイルドだったように思います。
最初は何でこんな風に並んでいるのだろう・・・?と不思議に眺めていたんですが、いつまでたっても銀行の列は進まないわ、みんなイライラしてくるわ、少しでも列を乱そうものなら警察?警備員?が棒でそいつを殴りだすというとんでもない状況・・・どうなってるねん・・・。
このこと、とっても不思議だったので、宿を仲介してくれた現地の方に聞いてみると
「お金を引き出そうと必死に並んでいる」
らしい・・・。ATMは私が行ったときは稼働してませんでした。
うーんどういうこと( ;∀;)?
よく聞いてみると、「ジンバブエはインフレによって、銀行に紙幣が足りなくなるということが日常化しており、1日に引き出せる通貨の量が決まっていたり、外貨を引き出すにはとてつもない労力がいるようになっているらしく、生活費を下すのにも数時間かかるということが常態化していた」らしいです。
そしておそろしいことに、この行列を何時間待っていても無事にお金をおろすことができる人はごくわずからしく、銀行から自分のお金を引き出すために徹夜するような人もいるらしいです・・・。まじかい。
自分の口座からお金を引き出せないってどういうこと・・・
私は銀行の様子をずっと見ていたわけではありませんが、スーパーで買い物して1時間ほどして同じ銀行の前に戻ってきた後も、100人以上並んでいるにもかかわらず、その間銀行の中には入れた人は数人という感じでした・・・。
ジンバブエは当時からお金も物も少なくなっていて、ブラワヨというジンバブエ第2の都市のスーパーですら、ほとんど物がないような状況でした。もちろん全くないわけではありませんが、がらーんとした印象でした。ただ、これは私が夕方にその店に訪れたからというのもあるかもしれません。午前中にいろいろものを買ってしまうそうでしたので・・・。
写真が残っておらず、なかなか伝わりにくいのですが、銀行に預けているだけで大丈夫だとか、現金至上主義のわれわれ日本人にはかなり衝撃的だなあと思ってみていたことをすごく覚えています。だって100万円持ってても、数年後には1円ということになりかねませんからね・・・。
ハイパーインフレとかなったらこんなことになるのかもね・・・。
アルゼンチンの場合
私がアルゼンチンを訪れたのは、アルゼンチンがデフォルトを宣言した2001年の翌年。アルゼンチンペソという現地通貨の価値が暴落し、様々なものが外国人にとって安く買えるという異常な状況にありました。
幸いなことに半年以上経過している時点でブエノスアイレスに訪れたため、日中は危険を感じることはありませんでしたし、観光客は少なかったものの観光するのに困るということはあまりありませんでした。とはいえ、1米ドル=1アルゼンチンペソという固定レートであったものが、闇レートなども考慮すると米ドル換算では何分の1~何十分の1という価値まで暴落しており、我々を含めた外国人にとってはあらゆるものがすべて安かったことを覚えています。また、そこら中に両替商がいて、とにかく米ドルを欲しがっていました。
もともとアルゼンチンというのは物価が比較的高いことで知られ、私もそのようなものだと思っていましたが、実際アルゼンチンに行くと通貨価値の暴落・インフレの恐ろしさを実感させられました。
例えば、アルゼンチンのタンゴの鑑賞。アルゼンチンのタンゴは世界的にも有名ですが、そのブエノスアイレスにある、BAR SURという有名なタンゴのバーがあります。このショー、現在は1ドリンク付きのショーで8000円弱くらいするようですが、私はお酒1杯(ウイスキー飲んでみた記憶がある)・ショー付きで700円でした・・・。おい。確かディスカウントチケットを闇レートで買った記憶が・・・。
中でも一番驚いたのは、街中で売っているワイン。その金額
1L 20~30円
でした・・・。毎日酔っ払いですよもう・・・w外国人観光客はみんな酔っぱらってたなあ・・・。
そんなブエノスアイレスで見た衝撃の光景が、銀行でした。
夜のブエノスアイレスにて
夜のブエノスアイレスは決して治安がめちゃくちゃ悪いというわけではありませんでした。経済破綻に慣れている・・・と揶揄されているアルゼンチンですが、さすが首都ブエノスアイレスだと混乱はだいぶ落ち着いているのかな~と思いました。
まあ人はいないけど、ブラジルのほうがよっぽど怖い。
しかしこの夜、宿に帰る途中で、とある乳飲み子を抱えた女の人が目に入りました。もちろん彼女の写真はありません・・・。なぜこの女性が目に入ったかというと・・・。
シャッターの降りた銀行に向かって何かを泣き叫びながらずっとシャッターをたたいているんです
よくみると、その後ろにもうなだれている男性がちらほら・・・。その男性たちはうなだれているだけで叫んだりはしていません。この銀行は、ホテルに帰る途中にあったために、昼間から存在は知っていましたが、こんな人はいなかったような・・・。
なんなのだろう?この人たちは・・・と思ってよく見ていると、どうやら女の人は「お金~~!!!」と叫んでいるのです。なんでこんな夜にシャッター叩いて叫んでいるんだろう・・・って思ったときに。
気づいたんです。
そういわれればこの銀行は開いてなかった・・・。昼間にも。
そうなんです、両替商がいるにもかかわらず、銀行は開いていなかったんです。どういうわけかは今となってはわかりませんが、確かにこの銀行は開いていませんでした。破綻しちゃったのかな・・・。
そしてよく見てみると、その女性の子供、ものすごくやつれていて、まったく元気がない・・・。もしかして、赤ちゃん弱っていたのかも( ;∀;)当時はまだ学生の若造なのでよくわかっていませんでしたが、今になって考えてみると、その子は死にかけていたのかもしれません。
いずれにせよ、何の助けもなく、もちろんたたいたり叫んだりすることで誰かが出てくることも事態が変わることもないのでしょうが、もうどうすることもできないと思った人々が銀行に押し寄せているさまというのが、大混乱から半年以上たってもまだ生じているのかというのは衝撃でした。
日本は世界的な経済力から言えば、破綻するという可能性は高くないのかもしれませんが、破綻してしまった場合に日本円だけでしか資産を持っていない人も多いでしょうから、こんなことになったらそれはもう大混乱でしょう・・・。いまだにあの光景は鮮明に記憶に残っています。
結局15分程度で私はその光景を見ることをやめてしまいましたが、おそらく大崩壊直後に言っていたらこんなもんじゃなかったのでしょう。
日本はたぶん破綻しないと思うけど、破綻しませんように( ;∀;)
以上、こんな風景をみたくてジンバブエやアルゼンチンに行ったわけではないのですが、見てしまった光景でした。
なるべくなら経済破綻している最中・暴動の最中はそういった国や地域に近づくのはやめましょう・・・ってやめるべきは私か( ゚Д゚)
こんなことをツイキャスでは話していました。また旅の話やりたいと思っていますw