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アフリカ旅行する皆様へ健康対策のすすめ~医師が思うアフリカ対策~

投稿日:2019-07-07 更新日:

ここではまじめに医学的なことをお話しさせていただきます。主にアフリカ旅行対策のことです。

まず、私アイジュは日本旅行医学会という旅行医学を専門とした医学会に所属しています。その学会の認定医(旅行医学に関する知識があると認められた医師)です。ただし、この認定医はあくまでも趣味で取得したものであって、マラリアだとかジカ熱だとかの専門家でも何でもありません。もしどうしても専門家に相談したいということであれば、トラベルクリニックなど旅行に関する医学的知識をしっかりお持ちの先生とよく相談していただくことを強くお勧めします。

以下著名な先生がいらしたり、アクセスしやすいところにある経験豊かな施設の一例です。

 

千駄ヶ谷インターナショナルクリニック(ここの先生の教育講演はなんども受けています)

品川イーストクリニック

 




 

これらのことを前提に少しまとめておきます。

まず一般論として簡単に気を付けられること

まず一般論として簡単に気を付けられること10か条

①無理をしない、よく休むこと(特に子供・年配の方)

②自分の体力を過信しない(特に子供・年配の方)

③食べ過ぎない・水を飲みすぎない(食べ過ぎ・飲みすぎは胃酸の中和に働き、食中毒に対する最強の防御機構の1つである胃酸の効果が減弱するため、理論的にはリスクがあがると言われています)

④市販のガスターは飲まない(胃酸を抑える効果のある薬は避ける)

⑤硬水が苦手な人は避ける、水道水は口にしないのがbetter

⑥保険は入る

⑦不用意に動物・虫に近づかない

⑧生ものは口にしない

⑨うがい・手洗いは良くする

⑩自分が病気になったとき、どこの国あるいは都市に行けば医療が受けられるのか確認しておく

 

基本的に口にするものについては気にしすぎて困ることはないと思います。簡単に対策できるものとして食べ過ぎ・飲みすぎ(もちろんお酒も!)は気を付けていただくことが大事です。私はバックパッカー時代、食中毒になったことがありますが、食べすぎが原因の1つでしたw胃酸というのはとても偉大であるため、ガスターに代表される胃酸を抑える薬(市販薬ガスター・処方薬ではプロトンポンプ阻害薬とよばれるタケプロン・ネキシウムなどの薬)は私は飲まないように勧めています。ただしこれはあくまで理論上の話であって、定かかどうかは不透明なのでご容赦ください・・・。常用薬の種類が良くわからない方は、主治医に尋ねてみてください。

また、原則的には用心するのであれば、歯磨きですらミネラルウォーターを使用したほうが良いと思います。すべてミネラルウォーターにすべきとおっしゃる方もいらっしゃいますし、我が家は子供たちはそうしています。親たちはバックパッカー時代の癖もあって水道水で口をすすいでますwwwとはいえ、ミネラルウォーターも硬水では体に合わない・・・という方もいるので、過信は禁物かと思います。

日本と同様、日ごろからよく手洗いをしておく、疲れを残さないということは徹底すべきだと思います。大人でも旅でははしゃぎますが、子供達はなおさらです!お子さんたちのペースでしっかり休むなど、対策は十分に考えておく方が良いと思います。日本人は健康に対しても治安に対しても無頓着なので十分注意を!生ものや火の通っていないものは控えるというのも大原則です!

保険はクレジットカードで賄えるならそれで大丈夫なんですが、ご自身やご家族にかけられている保険がどの程度なのかを確認しておくことをおすすめします。保険会社と契約をすることよりも、基本的にはクレジットカードでの保険を組み合わせて利用することをお勧めします。死亡保障は合算できませんが、治療費などは複数のカード会社の保証を合算することができることがほとんどですので。

途上国に行かれる場合は、特にですが、どこの医療機関が信頼できるあるいは信頼できそうなのか、しっかり調べておくことをお勧めします。日本語が通じるから、日本の会社がお薦めしたら良い医療機関であるとは限らず、現地の方・現地の旅行会社の方に尋ねるのもいいかもしれません。

 

補足:下痢になってしまった場合

旅行者下痢症といいますが、旅行中には様々な理由で下痢が生じやすく、旅行者が最もかかる病気は下痢だといわれています。その下痢も、ものすごく特別な、アフリカや南米にしかいない菌・ウイルスにやられた!というよりは、不慣れな環境にいることや、大腸菌などといった普段からそこらへんにいるような菌によって下痢することが多いと報告されています。とはいえ、アフリカやその国特有といった、日本にはほぼ存在しないような菌・ウイルスなどによって下痢することもあります。その判断は時と場合によっては極めて難しいです。

したがって、下痢になってしまった場合の対処として、整腸剤は一番手軽でかつある程度効果があるとは思いますが、単純に食事が体に合わないで下痢になっているのか、それとも何らかの感染症(食中毒など含む)で下痢になっているのかなどの判断が難しいですので、安易に自己判断で考えない方が良いと思います。蛇口をひねったようなくらい水様便が出たりするなど、明らかに旅行継続に悪影響を及ぼすような体調であればホテルやツアーコンダクターなどに相談し、現地の医師に診てもらうなり、OS-1のようなもので水分補給を十分すぎるほど行うなどするようにしましょう。特にお子さんは脱水症には弱いため、下痢による脱水症でも命を落とすことはあり得ると肝に銘じておくと良いと思います。

なお、せっかくの旅なんだから、下痢なんて怒らないように予防したい、予防薬はないのか?ということをお考えになるかもしれません。科学的に「この薬を飲めば確実に予防効果がある」ということを証明した薬がないわけではないですが、あまり素人判断で簡便にやるものではないものも含まれており、あえていえば整腸剤の使用位にとどめておくべきだと思います。私も途上国渡航中は気持ちの問題かもしれませんが、よく飲んでいます。また下痢止めの内服は、「毒素を外に出すことができなくなってしまう」という感覚でいていただけるとわかりやすいのですが、下痢を止めることによってかえって状況を悪化させることがあるので、素人がやることは厳禁とお考え下さい。

少し怖がらせてしまったかもしれませんが、生ものを控え、飲料を含めた口に入るものに気を配り、疲れを貯めさせないだけでも、経験上は下痢などの体調不良はある程度防げると思います。十分な休養も立派な旅の要素だとお考え下さい。

また、最初にも述べましたが、大人でもこれだけ気にするべきところがあるので、子供にはさらに一層の注意が必要です。よく気を付けてお子さんたちの観察も忘れないようにしてください。

 


 

※ここでは、抗生物質の使用など、医師の判断が必要になるだろうことに関してはここではお話するのは避けます。ご容赦ください。もし病気になった場合の対応は実際に診察してみないと分からないことが多く、重ねて申し上げますが安易な判断は避けるべきです。

 

【参考文献】

1) WGO (World Gastroenterology Organization)
10 Eating & Drinking Tips While Traveling

2) Virk A et al:A randomized, double blind, placebo-controlled trial of an oral synbiotic (AKSB) for prevention of travelers’ diarrhea.J Travel Med. 2013 Mar-Apr;20(2):88-94.

 




アフリカに行くにあたって注意したいこと

ここからはアフリカに特化した話です。

 

アフリカに行くにあたって注意したいこと

 

①黄熱病のイエローカード(接種証明書)が必要な国があるので十分確認を!

②予防接種はきちんと打ちましょう!スケジュールに注意!

③防蚊対策をしっかり!(特に子供たち)

④日本に帰った後に発熱したりした場合、不用意に近くのクリニックにかからないこと!

⑤マラリアの予防薬については医師に相談がbetter

少し詳しく見ていきます。

 

①②黄熱病およびそのほかのワクチン

野口英世先生が研究にかかわっていたことから、日本人にとっても黄熱病は聞いたことのある病気かもしれません。この黄熱病はほぼワクチンのみで対応が可能なため、世界中の多くの国で接種されています。イエローカードと呼ばれる接種証明書がありますが、その証明書の所持を入国の必須条件としている場合もあります。個人的には黄熱病は検疫所で打つこともでき、4000円程度と安価であるため、ケチることなく打ってしまうことをお勧めします。

また、時間があるならワクチンの接種を強くお勧めします。特に発症すると高い致死率を誇る狂犬病や破傷風は打っておくことを強くお勧めします。大丈夫だろう~と思っていると動物にかまれたり、大きなけがを起こしたりしうるので・・・。感染症対策としてのコレラやA型肝炎なども検討しておくべきです。・

日本人はワクチンに対してなぜか拒否反応を示す方がたまにいらっしゃいますが、世界の医学的には非常に誤った危険な考え方で、世界中で非難の的です。宗教上の理由やアレルギーの方は別として、有効とされるワクチンは基本的に打つべきと考えておいた方が良いでしょう。

ただし、どこを旅行するかによっても大きく異なります。また、時期ということも考えなくてはいけません。さらには費用的な問題もあって、私も実際打った狂犬病ワクチンは1回あたり10000~20000円前後するような非常に高価なワクチンもあります。また、どこの医療機関でうてるわけでもないので、手間や時間もかかります。

したがってスケジュールのことも考えなくてはなりません。アフリカ旅行を決めたら、早めに、少なくとも2か月前くらいからはトラベルクリニックのようなところで相談するか、検疫所などで相談してみることをお勧めします。私の経験で、たまたまかもしれませんが、検疫所の職員は意外と教えてくれます。詳しい人が出てくれればの話ですがw

 

③マラリア・ジカ熱などの蚊を媒介する感染症を避ける

世界中で使われている蚊取り線香をはじめ、DEET(蚊が嫌がる虫よけ成分だと思えばOK)の入った虫よけスプレーをきちんと使いましょう。お子さん向けには高濃度DEETは避けたほうがいいので、イカルジンが配合されたものを別々に買った方が良いと思います。

日本の虫よけスプレーは威力が強いもの弱いもの種類がいろいろ分かれているので、ご注意を!DEET(ディート)と書かれている成分濃度が濃い方が有能だと思っておいてください。

 

 

こういうDEETが多く含まれるものが良い(わが国では30%がMAXだったはず。アフリカに行くと40%のものとかあります。)

 

お子さんにはイカルジンとよばれる蚊が嫌がる成分を含んだものが適切です。

 

 

④日本の町医者は輸入感染症のことなどわからない

日本は戦後だいぶたちましたので、マラリアを戦地で経験したおじいちゃんという方もだいぶ減りました。私がもう少し若いころはたまにいらしたのですが、どういうことかというと、マラリアなどの輸入感染症(主に外国からもらってくる病気)のことなんて今の普通の医者はまったくわからないわけです。なので、アフリカから帰った後に不思議な症状が出現したら、トラベルクリニックなどに相談したほうが良いと思います。帰国したのちに調子が悪かった場合、町医者には行かないほうが賢明です。感染対策の仕方がわからなかったり、下手すると大騒動になりかねません。安易にかかりつけに相談するのは辞めましょう。

 

⑤マラリアの予防薬

マラリアはいまだに世界でも多くの方がかかる有名な感染症で、世界一人を殺す病気の一つとして恐れられる感染症です。蚊に刺されなければなることはありませんので、先ほどの虫よけ剤をたんまり使うのが良いのですが、それでも刺される可能性は十分にあります。したがってそういうことを考慮すると、マラリアの予防薬を内服することも検討の余地があります。

今は副作用の少ない良い薬もあるのですが、1錠500円~1000円前後と安くありません!ですので本当にどこまで必要かも考えていく必要があります。

私はマラリアの怖さは、マラリア自体ももちろんですが、日本での治療の少なさということもあるとおもっていますので、予防薬はもっていくことにしました。マラリアの予防薬は種類によってだいぶ変わるため、一概にはいえませんが、短期的なアフリカ旅行であれば、子供も大人もマラロンの内服が最も簡単だと思います。実際に飲んでみた感想などもつたえていきますが、マラリアの予防薬についても処方箋がないと買えませんのでトラベルクリニックなどで相談していただいたほうが良いと思います。

なお、外国でマラリアの予防薬を購入することもできますが、お子さんがいる場合はその薬の質も量もわからない可能性がありますので、できる限り控えるべきだと思います。英語力の有無にかかわらず、医学的な知識が絶対的に不足しているわけで、リスクを伴うものだと思います。

 

 




 

医師として、日本旅行医学会の認定医として、簡単にまとめさせてもらいました。 あまり詳しくいったりすることは無責任にもつながりますので、ぜひ実際にお会いした先生に相談されてみてください。

※この記事は医師・あるいは専門家の方につたえるものではなく、旅行者にわかりやすくまとめていることをご容赦ください。特に家族連れ、小児を一緒に旅行するご家族にも見ていただけるように配慮しました。したがいまして、文章中の文言は私の主観のみで語られていることもあり、エビデンスがある(エビデンスレベルの高い低い関係なくある)ものがいろいろと混在してしまっているかもしれません。読みにくかったり、分かりにくかったりする場合はご指摘ください。

 

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執筆者:


  1. Atsuko より:

    楽しく読ませていただいています。
    保険はクレジットカードでもよいと書かれていました。確かに医療補償は合算できますね。その場合、手続きに必要な診断書などが複数(クレジットカードの数だけ)必要となると大変だと思っています。1通だけもらっておいて、コピーでよければいいのですが。この点、ご存知ですか?

    • traveler より:

      コメントありがとうございます。お返事おそくなりました!
      医療合算の際に、コピーじゃだめという話はむしろ聞いたことがありません。
      諸外国は診断書や事実確認のものが手書きでなくてWORDで作った書類のようなことも多いような気がします。
      各国の対応や、各会社の扱いによって大きく変わるようにおもいます。

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 旅人、元バックパッカー。内科医。18歳の時に約10か月ほどかけて世界一周を経験。西回りに世界を駆け巡り、その後も休みがあれば旅を続け、今まで訪れた国はだいたい60か国くらい。旅で出会った日本人女性と結婚し、妻と子供2人の4人家族。

今まで1人旅・カップル旅を経て、家族旅行するようになっても世界中のどこへでも行く旅好き家族に。

「子供がいるからそこへは行けない」ということがないわけではないけれど、子供たちのためにも、子供たちのためになるのであれば、どこへでも行きたい、世界一周旅行でも行きたいと妄想し続けるアラフォー。まずの目標は「50歳でもう一度妻と世界一周する」。

夢は、世界のすべてをこの目でみること・世界の広さや美しさを子供に、そして世界に広めること。

今の充実した生活の原点を作り出したのが自分にとっては旅だった。見るものすべてが新しかったあの旅の感動は忘れられない。

 

2020年末をめどにアジア某国に家族で移住予定。旅の話とともに、移住の話もお伝えしていこうと思います。

子連れ旅行のことを中心に、役に立てたらうれしくおもいます。

 

Instagram:アイジュ




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