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子連れケニア旅行の注意点~医者が教える予防接種とマラリア~

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アフリカ旅行・ケニア旅行・サファリ旅行、すべてに通じるのが健康に関する話題だと思います。特にお子さんがいて子連れだったら心配も多いと思います。

私がアフリカに行ったというと、もちろん私の職業柄(内科医)もありますが、多くの方に「予防接種(ワクチン)はどうしたの?」と聞かれます。ですので、実際の予防接種をどうしたかなどについて、ここではお話していこうと思います。

というわけでアイジュ先生のワクチンコーナー。私はワクチンの専門家ではないので、ここで書かれていることが絶対ではありません、ご容赦を。必ず出発前に不安があればトラベルクリニックにご相談しましょう。ぜひ、アフリカ出発前に書いた記事も参照ください。

まず最初にまとめて置きます。

 

・ケニアとタンザニアだけを訪れる場合、エチオピア航空を使わなければ黄熱病ワクチンは原則必要ない

・可能な限り、打てるワクチンは打っておいたほうが良い

・マラリアの予防薬は不要

 

アフリカ旅行する皆様へ健康対策のすすめ~医師が思うアフリカ対策~




 

予防接種は必要か?

まず結論からいうと、予防接種というのはもし時間があって準備でいるものであればできる限りしたほうが良いのが原則であることをご理解ください。特にお子さんはなおさら。短期的なサファリ旅行であれば、あまりそこまで気にしすぎることはないのかな・・・とも正直思いましたが、これはあくまで医者としてではなく、一般的な旅行者としての感想です。(こんなこと言ってはいけないかもしれませんが、危険はあまり感じなかったのです。)

しかし、それは私自身に医学の知識があることや、すでに予防接種を受けていったからこそ安心感を感じていただけであるのかもしれません。やはり万が一ということを考えて渡航すべきですので、最低限対策はしておくべきです。したがってここで紹介するワクチンは可能な限り打っておいた方が良いとお考え下さい。お子さんは特に打っておくことをお勧めします。命取りになった場合に悔やんでも悔やみきれません。

 

【そもそもワクチンって?生ワクチン?不活化ワクチン?】

そもそもワクチンとは、ある特定の病原菌(細菌やウイルス)に対する免疫を身に着けるために行うもののことを指します。多くが注射ですが、経口ワクチンといって飲むタイプのワクチンもあります。お子さんがいらっしゃる方ならご存知だと思いますが、現在ロタウイルスのワクチンがこの経口のタイプに当てはまります。

とはいえ、予防接種にはかなり多くの種類があり、そのほとんどが注射です。日本人にとってなじみの深い、子供たちになら受けさせているであろう予防接種から、おそらくそんな名前聞いたことないだろうような病気に対する予防接種もたくさんあります。これらの病気をすべて把握することは難しいと思いますので、必要なワクチンを打つために必要な情報だけまとめていきます。

まずこのワクチンを考えるときに、必要な知識として、「生ワクチン」と「不活化ワクチン」そして「トキソイド」があります。医療の世界では3つですが、「トキソイド」はほとんど「不活化ワクチン」に近い、と一般の方は考えて差し支えないので、難しいことはさておき知っておいて損がないのは以下の違いです。

「生ワクチン」   =  病原菌を弱めて打つ(弱毒化)もので、1回ないし2回注射すればよいもの

「不活化ワクチン(トキソイド)」 =  病原菌を無毒化して打つもので、何回かにわけて注射する必要があるもの

と思っておいてください。

また、よくあるご質問ですが、理論上はすべてのワクチンは原則として同時接種が可能です。ただし、生ワクチンを複数接種する際は、同時に接種するか4週間ほど間を開けるかどちらかを選ばなくてはいけません。ちょっとわかりにくいのですが・・・。

まあ正直な話、旅をするためにはこの違いは知る必要がありません。旅をする皆様にとって、覚えていただきたいことは「期間を開けなくちゃいけないワクチンがあるので、接種の順番は考えて予防接種を打たないといけない」ということです。

こればかりは、輸入ワクチンを使うか国産ワクチンを使うか、どこで打つかによっても大きく変わるため、一概に言えることではありませんが、かなり余裕をもって接種のスケジュールは考えておくべきだと思います。

 

【黄熱病について】

この中で、ちょっと特殊なのが黄熱病ワクチンです。

この黄熱病ワクチンはとにかく効果が高く、今なお特効薬のないといわれる(知る限りありません)黄熱病をほぼ確実に一生防ぐという優れもので、しかも安いため、世界中で打つことが推奨されています。日本でも検疫所では4000円程度で打つことができますし、1回打てば一生涯大丈夫というすごさです・・・wこの予防接種を打つと、「イエローカード」と呼ばれる接種証明書がもらえます。ファウルしたわけじゃないですよ・・・。

なんとこれ世界共通です!なので世界中で通用します。なのでこの黄熱病ワクチンを絶対に打ってこいと言われることがあるのです。

また、黄熱病ワクチンは生ワクチンであり、打ってから4週間他のワクチンを打つことができません。同時接種にするか、最後に接種するのかを考えていく必要があるのでご注意ください。なお、効果は打ってから10日後にはもう効果があるといわれていますので、割と出発前ぎりぎりまで打つことは可能です。




ケニア・タンザニアを旅行するのに必要な予防接種

上でお伝えしたように、絶対に予防接種を受けないと入国できないというケースがあります特に黄熱病です。これは医学的な理由というより、各政府が決めた取り決めだとお考え下さい。したがっていかに医学的に正しいあるいは問題ないと思っていても、政府の命令により入国が許可されないときというのはありえます。そしてその政府の取り決めというのは当然のことながら国によって大きく異なります。

 

例えば、ケニアやタンザニアは、その国だけ訪れるならイエローカードが不要、つまり黄熱病ワクチンを打っていく必要はありません。

 

しかし、ややこしいのですが、ケニアもタンザニアも

 

流行地を経由して入国する場合はイエローカードの提示が必要

 

といわれています。つまり、ケニアとタンザニアは大丈夫だけど、その他の流行地からくるときは必ず打ってこいよ!というメッセージが政府から出ています。日本から行く場合は、エチオピア航空に乗って訪れるとイエローカードの提示を求められるようです。なのでエチオピア航空で行かれる方は十分お気を付けください。

 

その他のワクチン。まあワクチンというのはとても種類が多いので、すべてを打っていくというのはナンセンスです。したがって、厚生労働省検疫所のHPが非常に参考になりますが、ケニアのマサイマラやタンザニアが含まれる東アフリカを渡航する場合に、打っておいた方が良い予防接種として以下のようなワクチンが紹介されています。厚生労働省検疫所東アフリカのページより。

 

黄熱病、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病

 

私はすべて打ってあります。

このほかにも、髄膜炎菌などもあるのですが、必ずトラベルクリニックなどでご相談されることをお勧めします。その時の季節や流行なども考える必要があるからです。

ケニアのマサイマラなど、サファリに行かれるだけならまあ大丈夫だとは思うのですが、油断大敵。ワクチンは自己責任の意味でも、時間に余裕があれば必ず打ったほうが良いです。

 

まとめると、

・黄熱病ワクチンを必ず打つ必要はないが、どの国を経由するのかを確認し、必要に応じて大使館などに問い合わせるのがよいでしょう。

・打っておいたほうが良いワクチンは多いため、少なくとも3か月以上前からスケジュール管理することをお勧めします。




マラリアは大丈夫か?

今回、我々が訪れたケニアのマサイマラはほとんど蚊を見かけず、またマラリアのリスクは低いといわれました。

首都ナイロビではもうほとんどないようなことも聞きました。おそらく季節的なものもあるのでしょうが、とにかくほとんど蚊はおらず、東京のわが自宅のほうが100倍以上いました笑。

ホテルでは、殺虫剤を1日2回程度定期的に撒くというのが一般的なようで、部屋の掃除に来てくれる時に殺虫スプレーを撒いているようです。私たちはまったくと言っていいほどその殺虫スプレーが使用されていることに気づかないくらいの臭いでしたが、もし気になる方はホテルのスタッフに説明して違う対応をてもらった方がいいかもしれません。

 

個人的にはマラリアの予防薬を持っていきましたが、不要だったかなと思いました。

マラロンという予防薬を、処方箋を書いて自費で処方しましたが、それは不要だったかなと・・・。大量に余っているので、もしほしい方いれば差し上げます笑。

 

それより必要なのは虫よけスプレーです。

 

日本でふだん使うのではなく、子供向けにはイカリジン配合の濃いもの、大人ではDEET30%以上のものを買うようにしてみてください。

 

私は天使のスキンベープというのが安く売っていたので、それをもっていきました。この商品は子供にも使える忌避成分(蚊が嫌がる成分)であるイカリジンを含んだものです。もちろん大人でも使えます。

イカリジン配合って書かれているのが小児用

 

大人ではDEET30%以上配合というものが望ましいと思います。

 

とはいえ、あまり蚊もいないので、イカリジン配合と書かれているものを大人が使ってしまってもいいかもしれません。いずれにせよ、マサイマラでは一切虫に刺されていません・・・。

 

一番注意すべきは胃腸炎や風邪です

ここまでアフリカ特有のお話をしてきましたが、実は最も頻度の多い外国での病気トラブルって、実は胃腸炎や風邪です。

もちろんアフリカ特有の胃腸炎・ウイルス疾患もありますが、「水が合わない」「食べ物が合わない」「生焼けのものを食べてしまった」といった、口から入るものに対する反応としての胃腸炎が一番多いです。これは旅行医学の教科書や文献をみても世界共通で言われていることです。

したがって、旅に出たら無理をしない、食べ過ぎない、きついと思ったら十分休息をとるなど、自己管理が大切です。

特に子供たちは皆様ご存知のように、無理をしがち。必ず休息を挟みつつ、親のペースで旅しないように気を付けてください。

詳しくは先で紹介した準備編にも書きましたのでご参照ください。

 

アフリカで病気になってしまうこともですが、帰国後に体調を崩さないようにするためにも、万全の準備をするとともに、無理をしないということを忘れずに旅を楽しむようにしましょう!まあ楽しくてはしゃいでしまうのは仕方ないとは思いますが・・・。

 

改めてまとめると、

 

・ケニアやタンザニアだけを訪れる場合、黄熱病ワクチンが必要なケースは限られる

・しかし可能な限り、打てるワクチンは打っておいたほうが良い、万が一のためにも自己管理が大事!!

・マラリアの予防薬は不要

・旅先では無理をしない!子供たちもゆっくり休ませる!

 

それでは良い旅を!

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 旅人、元バックパッカー。内科医。18歳の時に約10か月ほどかけて世界一周を経験。西回りに世界を駆け巡り、その後も休みがあれば旅を続け、今まで訪れた国はだいたい60か国くらい。旅で出会った日本人女性と結婚し、妻と子供2人の4人家族。

今まで1人旅・カップル旅を経て、家族旅行するようになっても世界中のどこへでも行く旅好き家族に。

「子供がいるからそこへは行けない」ということがないわけではないけれど、子供たちのためにも、子供たちのためになるのであれば、どこへでも行きたい、世界一周旅行でも行きたいと妄想し続けるアラフォー。まずの目標は「50歳でもう一度妻と世界一周する」。

夢は、世界のすべてをこの目でみること・世界の広さや美しさを子供に、そして世界に広めること。

今の充実した生活の原点を作り出したのが自分にとっては旅だった。見るものすべてが新しかったあの旅の感動は忘れられない。

 

2020年末をめどにアジア某国に家族で移住予定。旅の話とともに、移住の話もお伝えしていこうと思います。

子連れ旅行のことを中心に、役に立てたらうれしくおもいます。

 

Instagram:アイジュ




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