海外で亡くなる理由、それは脳卒中や心筋梗塞など血管にまつわる病気が多いと申し上げました。これは立派な統計調査による科学的根拠に基づく結果です。ただ、旅行者が最も困る旅行にまつわる健康のトラブル、それはもっと一般的なこと、つまり発熱や下痢だと思います。
特に下痢についてここでは述べていこうと思います。発熱っていうのは少し難しいんです。いろんな理由がありますから一概には申し上げられないのです。
下痢の原因は?
下痢に関しては、多くの旅行者が経験されることだと思います。このうち、日本人に多いのは、
①水が合わない
あるいは
②ウイルスや菌に感染すること
ではないかと思います。
よくある話で多くの方がお聞きになったことがあるのではないかと思いますが、硬水のミネラルウオーターが体に合わないという訴えをされる方がいらっしゃいます。特にヨーロッパや北米に行かれる場合によく聞かれるかもしれません。
ただそれは体が慣れている慣れていないというのも関係があるといわれていますし、医学的には「硬水を避ければよい」という極論に達してしまうので、あまり医者として申し上げることはできないのが本音です。慣れるっていうけど科学的に証明されてるものなのかとかも知りません。もともと下痢しない私みたいな人はどうすればいいの?笑
さて、あまり知らないことを言い続けてもやぶ医者になってしまうのでさけます笑
問題は②の感染症ですね。主に発展途上国に行った際に困るのは圧倒的に感染症、つまりばい菌のために下痢を起こすことが問題になりますね。
下痢をしないようにするためには?
旅行者下痢症という定義が旅行医学で定義されています。旅行者下痢症は形にならない下痢が1日3回以上続くことを指します。どんな菌やウイルスなどで下痢をするのか、それらはだいたい判明しています。ここではそういった医学的な知識よりも、どうすれば下痢を防げるのかということを科学的な根拠とともに個人的な意見を含めて記していこうと思います。
なお、一部の下痢症に対するワクチンは確かに存在しますが、実は多くの下痢症はワクチンの対象であるコレラ菌やロタウイルスによるものではないので、旅行者下痢症のためにワクチンを打つことはあまり確立されたものではないと一般的には考えられています。
わたしが考える下痢にならない鉄則
・食いすぎない、飲みすぎない
・生もの・生水は飲まない、摂るなら空腹時か朝
基本的に食べ過ぎとかはNGです。イメージとしては「胃酸を薄めない」ということです。食事をとった時に、ばい菌が入っても「胃酸」がかなりやっつけてくれているというイメージが大切です。したがって、旅行医学の世界でも胃酸を抑えるタイプの薬を内服していると旅行者下痢症のリスクが高くなると報告されています。ちなみに水だけではなく、氷にも気を使うようにしてください。
・下痢止めを使わない
絶対に素人判断でやってはいけないこと、それは下痢止めを使わないことです。体の中に毒素をため続ける原因になってしまうからです。医師に指示されたりした時以外はまず素人は気を付けたほうがいいです。
・疲れない!
やっぱりこれが重要です。無理しすぎないように、はしゃぎすぎないようにするのが大事ではないでしょうか。
当たり前ですが以上のようなことがまず全員に共通することです。
実際の治療についてはまた後日。
※参考文献
1)Connor BA: Travelers’ diarrhea. ed Arguin PA et al, in CDC health information for international travel 2008, Elsevier, Philadelphia, 2008; 322-332.
2)Elaine C.Jong, Christopher Sanford :The travel and tropical medicine manual.