世にもミステリアスな医者の給料について⑥ 苦悩する大学院生

研究者としてやっていきたい先生たちの給料体系

皆様の中には、理系の方もいらっしゃると思ますし、大学院をご卒業されている方もたくさんいらっしゃると思います。私はちなみに大学院出ておりませんが、同僚には元大学院生も多く、同級生でもたくさんいました。したがってそれらの同僚たちを横から見ていて、その実際の給与体系ならびに生活を説明していこうかと思います。なお、この項目に関しても、大学によって、国立・私立の差などによって大きく状況は異なります。




医者の世界で大学院へ進学する理由のは大きく分けて2通りあると思います。1つは学位をとるため、1つは研究したいためです。たまに単純に博士号というブランドが欲しいからという人もいますけどね(-_-;)

私は根っからの臨床医であり、まったくといっていいほど研究に興味がないため、臨床研究はしておりましたが、大学院には行っておりません。大学病院や大きな病院の偉い先生になるためには大学院を卒業した後にもらえる学位が必須という病院もありますが、そういった地位にもまーーーったく興味がなかったため、人生で「大学院で研究しよう!」と思ったことはただの一度もありません。

ただ、志高く研究したいがために医者になった先生も数多くいらっしゃいます。理系の方ならお分かりいただけると思うのですが、特に基礎系の教室に入り、いわゆる研究室に入り浸る・・・という先生もいらっしゃいます。そういう方については私の周りにあまりおらず、なんともいえませんが、大学を卒業して研修医を終えた後、すぐに所属したい教室へ行く方もいらっしゃいます。あるいは、ある程度お金をためて、数年臨床医として働いたのちに、自分のやりたい研究をできる教室に大学院生として勉強し、そのまま教室に属する・・・というケースもあるようです。

私立の医大出身の私にとってはあまり周りにこういう人がいないため私自身もあまりピンときません。(国立大学のほうがやはり研究に関しては資金力などの問題から有利なことが多いです)iPS細胞を確立した山中伸弥先生も、まずは最初臨床の現場に出ていわゆるお医者さんとして働き、その働いている中での疑問や興味を持ったことを研究題材にしたいと思い大学院生となる・・・という方が多いような気はします。少なくとも私の周りにはそういう方しかおりません。東大のような国立病院の先生はこういった先生のほうが多いのかもしれません。

それよりも、私の周りにいる医者の一般的な大学院生というのは臨床研究、すなわち「この病気に対してこの薬は効くかどうか研究する」「まだ知られていないある病気の治療法についてまとめて世界に発信する」などということを研究していきたいと考えていたり、将来は大学教授になりたいから、あるいは研究も臨床もできる先生になりたいと考えている医者たちのことだと思います。そういった場合は、年間の学費を工面したり、生活費・家族を養ったりしながら医師としても研究者としてもがんばりたいという先生が、医師としての職業を行いつつ大学院生としても二足の草鞋を履いて日々頑張っていることが多いです。

つまり、大学院に行くためには、一般的な大学院と同様授業料をはじめお金が必要です。それはご理解いただけると思います。問題はどうやってそのお金を工面しているかというと、なんとアルバイトを含めて病院での仕事をしながら研究しているのです。

大学院生は都合の良い働きバチだと考えている大学病院もある

つまり、皆さんがもし病院にかかられた際、皆さんを見てくれた救急外来の先生や外来の先生は大学院生かもしれない・・・ということが起きうるのです。学生とはいえ、国家試験を通り、初期研修医を終えた先生たちですから、アルバイトすることに法律的な違反はもちろんのこと、学業や研究に支障がなければ全く問題がありません。したがって、日常の臨床業務にアルバイト、そして大学院での研究・学業というかなり忙しい日々を送る必要があります。

医学部を通り抜けてきた人たちは、原則的に理系の人ですので研究をしてみたいという先生は実はかなり多くいらっしゃいます。そういった人たちが、大学に付属する大学院に入ると、所属する教室=医局にいいように扱われることが多く行われています。どういうことかというと、授業料を払っている大学院生たちを、給料を支払うことなく、大学院生でない医局に働いている医者と同じような労働を課していることがあるということです。

わかりにくいかもしれませんが、要するに大学院生でない医者の私アイジュと、大学院生である同級生のG先生が、同じ病院に普通に一緒に働いているにもかかわらず、私は月20万くらいもらい、G先生は1円ももらわないどころか授業料を払っているというなんとも意味の分からない職場環境を作りだしているのです。

なぜこういう労働環境なのかというと、私も正確に答えられるわけではありませんが、大学に所属しているとアルバイト先を斡旋して結果的に大学院生の先生の生活を担保してくれていたからなのだと思います。今はアルバイト先を自分で探すことも可能なのですが(例えば、投資家なら皆が知っているm3でも、医者専用のm3.comのサイトでバイト探しができます)、昔は基本的にアルバイト先は大学病院の医局が抱えており、それを医局員たちに分配して地域医療・関連施設との連携を維持する役割をしていたことが影響していたのだと思います。

したがって、研究もしたい、生活費もかせぎたいといった場合、『大学病院に所属すれば大学院生にもさせてあげるし、バイト先も紹介してあげるよ!その代わり大学病院で働くの手伝ってくれる?』というような関係が作り出されるようになったのだと思います。

※この辺の経緯や歴史、実際は私が大学院生でもなく、そういう生活に一切興味がなかったためあまりわかっていないかもしれません。間違いがあれば訂正します。

ここまで話せばお分かりいただけるように、大学病院にとって大学院生とは大学病院で働いてくれかつ研究もしてくれる都合の良い先生という扱われ方がされていたのです。現在はだいぶこの状況も改善されているといいますが、大学院生を見ていると本当かなあ・・・と思うことが多いです・・・。




大学院生の1週間

私の後輩で今まさに大学院生の先生の1例を出してみます。

 
AM 病棟 病棟 外来 病棟 外来 病棟
PM バイト 研究室 検査 研究室 大学院講義 病棟
  研究室 大学当直 研究室   バイト当直

大学にいる間はみっちり働いています・・・。研究室というのが、研究する時間ですが、夜中までに働いたり研究していることも少なくないようです。にもかかわらず、バイトは週1~2回で授業料を賄い、バイト当直を毎週あるいは日曜日もやりながら生計を立てています。日曜日にデータを取りに研究室に来ていることもあるようです。

1週間で彼が手に入れる給料はバイト1回分+当直代で週10万程度。たまに日曜日の当直バイトもしていますが、月に40~50万前後の給料が確保できています。したがって年収500~600万程度ですので、給料としては一般企業の方に比べれば多いですが、研究も臨床も家庭も、すべてがフルパワーでがんばるには相当大変だということがお分かりいただけるかと思います。

ちなみに、彼の大学院の学費はおおむね年100万程度だとのこと・・・。子供います・・・( ゚Д゚)

このケースではかなりがんばって給料をもらえるように身を削っていますが、この大学院生の仕組みは、それこそ大学や病院、科(医局)によって大きく異なることも多いため一概には言えません。ですのであくまでもこの彼は一例だとお考え下さい。研修医くらいの給料しか出ず、それで学費を払っている先生も知っていますが、生活のことを考えると体力を削ってでもバイトしている先生が多いように思います。

そこまでしても研究者になって世界に貢献したいと思っている先生がいらっしゃるので、私もこころから尊敬します。とはいえ、ちょっと体にはよくないし、こういった先生たちに甘えて大学病院の臨床が成り立ってしまっているため、ゆくゆくは労働環境を整えようとすると、間違いなく大学病院は人不足に陥ることとなるため、それこそ医療システムの根本を変えなければやっていけないと思います。

こういった無給で働いてくれる先生たちを無給医と呼び、こういった制度が今でも残っているのは非常によろしくない!という意見がかなり出てきているようですが、そもそも医者の労働条件もひどいですので、根本的な解決には至っていないのが現状だと思います。

長くなりましたがまとめますと

・大学院生の先生も、アルバイトによって収入を稼いでいる。

・アルバイトの量によって年収は大きく異なる

バイト次第でかなり給料はばらつくが、基本的に医者の中でも給料は低いことが多い

・しかも学費を払いながら仕事している

開業医はまた明日。

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